セキセイインコのスズメちゃんは手のひらに乗るほど小さいです。
それでも羽を広げると驚くほど大きいのです。
⒈ セキセイインコの翼は人間でいう手 |
もちろん翼は空を飛ぶことに特化しており、何かをつかむという機能はありません。ですから、機能的に言えば足とクチバシが手の役割を果たしています。
しかし、セキセイインコ(鳥類)の翼は解剖学的に言えば人間の手に当たります。
手に羽という道具がついて翼になっています。
鳥さんは足とクチバシと目以外、全身が羽で覆われています。ただでさえ小さいセキセイインコですが、実は羽がないと驚くほど小さくなります。翼もその例外ではなく、羽がない状態だととても小さいのです。
スズメちゃんが伸びをした時の写真で解説してみましょう。
普段折りたたんでいる翼を伸ばすととても美しいです。
いかがでしょうか?改めて羽を伸ばした状態を見てみると、翼の大きさと羽の多さがよくわかりますね。
そして何より美しいです。
羽を伸ばした写真で薄くピンクに透けている部分が手先になります。
わかりやすく線を書き入れてみるとこんな感じです。
この細くて頼りない手に羽という道具がついて立派な翼になっているのです。
手の骨格は実に人間の手と似ています。しかし、鳥類は手を飛ぶ目的に特化させているので指はありません。必要ないと言った方が良いでしょう。鳥には指の代わりに羽が、人間には羽の代わりに指があるといった感じでしょう。(手についてだけ言えばです)
鳥の羽は、生えている場所や役割によって種類が違います。またそれぞれに名称もあります。翼の部分だけ見てみても次のような羽の種類があります。
よく見ると羽の種類が違うのがわかりますね。羽だけ見ても実に奥が深い。
まして、これだけの羽が普段はもつれ合うことなくコンパクトに収められているのだから、それも驚きです。器用にできています。
⒉ セキセイインコの手先の繊細な動き |
セキセイインコ(鳥類全般)は飛ぶ時に実に繊細の動きをしているのです。
一見すると、がむしゃらに翼を上下させているだけのようですが、上に動かす時と下に動かす時では微妙に動きが違うのです。全ては飛ぶことに特化した結果です。
翼を下に動かすことを “打ち下ろし” といいます。打ち下ろしによって体を上昇させるわけです。この動きの際には、羽根の隙間が閉じ、空気を大きく捕らえることができるようになっています。また羽の角度も大きな空気抵抗を生むように計算されています。よって打ち下ろしの際に、翼の下の空気は下後方に押され、鳥の体を持ち上げ、かつ前進させる推進力を生むのです。
一方、羽を持ち上げることを “引き上げ” といいます。引き上げの際には、翼の角度を変え、ややたたみ気味にして、なるべく空気抵抗が少なくなるように翼を持ち上げるのです。あの早い動作の中でそれをしているのかと思うと、本能とはいえ感心してしまいます。
さらに、それぞれの羽根の重なり方も、翼を上げる時には隙間から空気が抜けやすいような構造になっているのです。
実によくできています。
飛翔に特化している翼にだからこそできる妙技でしょう。
⒊ 鳥も人間も技術の維持は欠かせない |
鳥の翼のごとく、人間には手に指があり様々な繊細な動きができます。
ものをつかむ、箸を持つ、ものを投げる。一般的多くの人がする動きもそうですが、専門技術者だけが体得した動きもあります。工芸家、書道家、画家、楽器奏者、機械技術者、工業技術者などなど、たくさんの専門分野がります。そしてそれぞれが、それぞれの分野に特化した手の動きを習得しています。
鳥が飛ぶことをやめれば、やがて羽は退化して飛べなくなります。長年、狭いゲージでしか過ごしたことがない鳥であれば、部屋の中すら飛び回ることが難しくなるはずです。
鳥は飛ぶために飛ぶ必要があるのです。スズメちゃんも放鳥時には器用に部屋の中を飛び回ります。以前より、明らかに上手くなっています。
我々も、手に入れた技術の維持には手を使い続ける必要があります。自分で言えば、口腔外科医としての手、イラストレーターとしての手、そば打ちの手があります。どれも使い(やり)続けて維持、向上させていきたいと改めて思います。
【今日のオランダ語】
私は日本の首都、東京から来ました。
Ik kom uit Tokyo, de hoofdstad van Japan.
(イックコム アウト トーキョー、ドゥ ホーフトゥスタット ファン ヤーパン)