週末に蕎麦打ちをしました。
オランダに来て7回目の蕎麦打ちです。
前回(6回目)までに感じていた改善点を意識したら、良い出来のそばが打てました。
⒈ 試行錯誤の繰り返し |
これまでに感じていた改善点は
・蕎麦が短くならないようにする
・打ち粉の問題を攻略する
の2点です。
オランダに来てから、日本で蕎麦打ちをしていた頃より蕎麦が短くなる傾向にありました。蕎麦の醍醐味は、ズズッと啜って喉越しを楽しむ点でもあります。そのためにはある程度長いそばに仕上げる必要があります。
また、オランダでも蕎麦粉をパンやガレットに使用するので、蕎麦粉自体は手に入ります。
しかし、打ち粉は手に入りません。
オランダには蕎麦打ちをする文化はありませんから当然と言えば当然です。でも打ち粉がないと蕎麦が打てません。
試行錯誤を重ねることにより、今回の蕎麦打ちではこの2点をクリアすることができました。
⒉ 打ち粉問題 |
打ち粉とは、蕎麦を打つ時に蕎麦生地がのし台や麺棒にくっつかないようにする、また摩擦を少なくする、蕎麦生地をたたんだり切ったりする時に、生地や麺同士がくっつかないようにするために振る粉です。
理想は、御膳粉というソバの実の中心部分を挽いた白いサラサラしたそば粉を打ち粉として使用します。
打ち粉は実に重要で意外に値がはるものなのです。
小麦粉や片栗粉で代用するという手もありますが、これらは湿気でベタつくし、茹でる時に湯がもたつくのであまり好ましくありません。
普段は、日本のそば粉を手に入れる際に打ち粉もセットで購入するのですが、前回の蕎麦打ちの時に打ち粉を使用しているので今回はちゃんとした打ち粉がありません。
以前、オランダで手に入るそば粉をそのまま打ち粉として代用しました。しかし、外皮を含んだ挽きぐるみの粉なため、粒子が大きい外皮が含まれています。延しの工程で指が擦れて痛くなりました。
そこで今回は、オランダで手に入るそば粉を目の細かい篩でふるって、キメの細かい蕎麦粉だけを取り出しました。これを打ち粉として代用するわけです。
右の写真のボウル内に振り分けられた白い粉が打ち粉になります。
手触りもサラサラで打ち粉として十分使用できそうです。
ちなみに、そば粉は日本の霧下そば粉を使用しました。開封した途端に蕎麦の香りが漂い気分も上がります。
つなぎの小麦粉はスーパーで購入した中力粉です。
⒊ 蕎麦打ち(長いそばを打つ) |
それでは蕎麦打ちに入ります。
今回は、蕎麦が短くなる問題を克服します。
原因は玉の大きさの違いだと気付きました。
というのは、日本で蕎麦打ちをする際にはお師匠さんのところで蕎麦打ちをしていました。その時は1.5kg(そば粉1300g、小麦粉300g)で蕎麦打ちをしていました。
1.5kgで蕎麦打ちをするにはかなり大きな鉢が必要になります。
オランダに持ってきた鉢も、「なるべく大きものを」と思って購入したものですが、お師匠さんのものに比べると小さいです。
自前の鉢では1kgで蕎麦打ちをしています。
すると当然、くくって出来上がる玉が1.5kg玉より小さくなります。ここから、今までと同じ工程で蕎麦を延していくと、最終的な横幅がやや短くなります。
これが蕎麦が短くなる原因でした。
したがって、今回は四つ出しの後に少し延した生地を90度回転させ、横幅を長めにとってから縦にのしていきました。
(横幅が長いと、最終的なたたみをした時の縦の長さが長く取れます。)
延しの工程に一工夫入れたおかげで、1kg玉にして以前のような長さの蕎麦が打ち上がりました。
打ち粉も、摩擦で手が痛くなることなく使用できたので良しとしましょう。
飛行錯誤を重ねた結果です。
⒋ 実食(ざる蕎麦+天ぷら) |
いざ実食です。
嫁殿が天ぷらを揚げてくれました。
具材は、インゲン、サツマイモ、野菜のかき揚げです。
蕎麦は茹で時間は約40秒ほどです。家庭用の鍋なので、一度に2束までしか茹でません。
追加で茹でる場合には、その都度湯を変えます。そうしないと湯がグデグデになり蕎麦がくっついてしまうからです。
試行錯誤を重ねた成果は確実に出ました。
まず、そば粉が良いので蕎麦の香りが強くとっても美味しい蕎麦ができました。コシもあります。
蕎麦の長さも確保できたので、蕎麦の醍醐味であるズズッと啜って喉越しを味わう、という楽しみも堪能できました。
嫁殿の揚げてくれた天ぷらとの相性も抜群です。
今後は、さらに薄く延して蕎麦の細さを追求していきたいものです。まだまだ試行錯誤の余地があります。
蕎麦打ちに限らず、口腔外科医としてもイラストレーターとしても、試行錯誤を重ね続けていくことが大切だと感じます。
【今日のオランダ語】
私の妻は毎晩夕飯の支度をしてくれます。
Mijn vrouw maakt elke dag het avondeten klaar.
(マイン フラウ マークトゥ エルケ ダッハ ヘット アーフォントゥエーテン クラー)