マーストリヒトはその旧市街の美しさが観光客を魅了しています。
しかし、実は地下には広大な洞窟があり、その歴史的世界も魅力の一つなのです。
そんな、地下に広がる広大なスペースと歴史を知るために、
聖ピーターの洞窟(St. Pietersberg caves)ツアー
に参加してみましょう!
かつて、レンブラントの「夜警」が貯蔵された国立貯蔵施設にも指定されている洞窟です!
⒈ 聖ピーターの洞窟(St. Pietersberg caves)の場所 |
住 所: Luikerweg 71, 6212NH, Maastricht
聖ピーターの洞窟は、マーストリヒトの旧市街中心部から徒歩15分ほどの場所にあります。
旧市街からベルギー方向に位置する小高い丘の上にそびえる、聖ピーターの砦(Fort Sint Pieter Maastricht)が目印です。
⒉ 聖ピーター洞窟ツアーのチケット |
チケットは、聖ピーターの砦(Fort St. Pieter)の隣にあるレストランの入り口脇で購入できます。
チケットは
・聖ピーターの砦ツアー
・聖ピーターの洞窟ツアー
のそれぞれがあります。
どちらも、大人一人6.6ユーロです。所要時間は各1時間です。
両方のツアーをまとめ買いすると10.4ユーロに割り引かれます。
ネットでもチケットが購入できます。
ツアーの時間帯は
オランダ語ツアーは全ての時間で開催されています。
洞窟の英語ツアーは12:30、14:00、15:30の3回のみ、砦の英語ツアーは12:30と14:00の2回のみの開催となっています。
⒊ 聖ピーターの洞窟ツアー・洞窟内部へ |
いざ、洞窟中へ参りましょう。
ここで注意事項ですが、洞窟内は年間を通して約10度に保たれているそうです。夏は外気より涼しく、冬は外気より暖かいことになります。
冬場以外に訪問する際には、洞窟内で羽織るための上着を持って行った方が良いです。ツアーは1時間ありますから、途中で寒くなる可能性があります。
洞窟内へは、北の入り口から入ります。
洞窟の中は、完全なる暗闇、無音、無臭、無公害、無放射線、携帯電話も圏外となる世界です。
時間の概念さえもなくしてしまう漆黒の闇の世界です。
ツアーは、ツアーガイドさんの持つ懐中電灯と、ツアー客に中の3人に渡されるランタンのみで進められます。
ランタンを渡されたツアー客は、一人は先頭、一人は真ん中、もう一人は一番最後を歩くように言われます。
洞窟はかつては2万もの回路で構成されていました。とてもガイドなしには入れません。
約700年の歳月をかけて全て手作業で作られたこの洞窟は、当時で総距離230キロメートルにも及んだと言います。そして、現在では約80キロメートルが残っています。
そもそも、この洞窟を構成しているのはライムストーンという石灰岩です。
当時、教会などの建物の建築にこのライムストーンが使用されていました。この洞窟で採掘されたライムストーンは馬に引かせて地上まで運び出されていたそうです。
ライムストーンは、その総重量の役20%が水分です。洞窟内では重く柔らかいのですが、地上に持って行くと軽くて硬い石に変化するので、建築材料に向いていたそうです。
戦時中には市民の避難所としても使用されていました。
また、ここは National Storage Facility no. 9(国宝の国立貯蔵施設)にも指定されている箇所があり、レンブラントの「夜警」を戦時中に保管していたことでも有名です。
下の写真の右側にあるKLUISと書かれた四角い場所が美術品などの貯蔵に使用されていた場所です。
それにしても、下の写真の網目状の通路が全て地下洞窟で、しかもこの地図はその全貌の約3分の1にしか過ぎないというのだから驚きです。
洞窟ツアーのハイライトのひとつにフランス軍による爆破ドームがあります。
これは、戦争中にフランス軍が洞窟の存在を知り、洞窟内から侵略を進め地上にある聖ピーターの砦を破壊するために洞窟内から爆破を試みた際にできたものです(下の写真)。
しかし、この場所は実際の砦の橋から150メートルも離れていたことと、洞窟から地上までにはまだ30メートルもの距離があったことから、何のダメージも与えられませんでした。
ツアー中はフランス軍との歴史がちょくちょく出てくるので、ガイドさんはフランス人の参加者の有無を確認していました。フランス人の方がいる場合には説明をマイルドにしているのかもしれません。笑
洞窟内にはたくさんの壁画があります。
その一つに Mosasaurus (モササウルス)絵があります。
これは、この採掘場で初めて大型爬虫類(モササウルス)の頭蓋骨の化石が発見されたからです。
この標本は、フランス革命戦争でオランダに攻め込んだフランス軍によって戦利品としてフランスに持ち帰られ、今はフランス国立自然史博物館で保管されています。
この地はかつては海の底であったため、このような化石が発掘されたのです。
ちなみに、このモササウルスのMosaはマーストリヒトの中心を流れるマース川にちなんでいるそうです。
洞窟内にある壁画の多くは炭で描かれています。
これは、洞窟内が常に湿度90%以上の環境であることが理由だと言います。
通常絵の具だと、この環境では劣化しやすいからなのです。
壁画には、暗闇を照らすための火の神様や、マーストリヒトの広場の情景など様々なものがあります。
これらもツアーの魅力の一つと言えます。
ツアーの終盤には、すべての明かりを消して暗闇の中を歩くという時間があります。
時間にしてほんの3、4分ですが、日常では体験できない真の暗闇を心身を持って体験することがでいます。
懐中電灯とランタンの明かりを消した洞窟は、もはや洞窟ですらありませんでした。
真の暗闇、漆黒とはこのことか。
目が慣れることなんてありません。
そこには一筋の光すらないからです。
文字通り真の闇です。
この暗闇の中で、3分といるだけでも恐怖心が芽生えるほどです。
24時間もここにいたらパニックになるのも容易に想像がつきます。
やはり、ガイドさんなしでは入れる場所ではありません。
でも、ガイドさんがいるという安心感のもの、この暗闇にを体験できたことは本当に有意義なことでした。
いかがでしたでしょうか?
旧市街に広がる、街並みやその美しさとはまた違った魅力がマーストリヒトにはあります。
その一つが、この洞窟ツアーです。
実際に体験してみて、想像以上に楽しかったです。
マーストリヒトにお越しの際には是非、参加してみましょう。
【今日のオランダ語】
私の便(飛行機)は1時間後に離陸します。
Mijn vliegtuig vertrekt over een uur.
(マイン フリーフタウフ フェアトゥレック オーファー エーン ウア