先月思い切って、以前から気になっていた解剖書を購入しました。
その名も” The Face Pictorial Atlas of Clinical Anatomy “です。
イラストの美しさは超一級品です。見とれます。
⒈ The Face Pictorial Atlas of Clinical Anatomy |
解剖学アトラスの域を超えて、一冊の芸術的イラスト本としても引けをとらないクオリティです。
イラストが好きな自分から見れば、絵を見ているだけで飽きません。
” The Face Pictorial Atlas of Clinical Anatomy “は英語版が主流です。
著者であるRalf J. Radlanski はドイツ人のダブルドクターです。(なのでドイツ語版もあるでしょう。)
僕はオランダ語の学習も兼ねるため、あえてオランダ語版を購入しました。
両面ハードカバー、フルカラーで全354ページ。
情報量の多さと、イラストの美しさはそうそう右に出るものがないと思います。
このアトラスの良い点は
・レイヤーの細かさ
・頭頚部を網羅した情報量の多さ
・イラストの美しさ
です。
開いてみてまずびっくりするのが、そのレイヤーの細かさです。皮膚、皮下組織、筋膜、筋肉、脈管を表面から実に細かく一層づつ剥がしていった様子がイラストに示されています。ここまで細かい表現の仕方は、他ではなかなか見れません。
正面、側面、頭頂部、からのアングルもあり、特に目を見張るのは冠状断のイラストです。実に手の込んだイラストでわかりやすく図解されています。
局所の解剖学にも触れており、目、耳、鼻、口腔、歯牙、顎関節についてもかなり細かく載っています。また、他の解剖アトラスでは見ない、加齢による変化についても言及されています。
持っていて損はない解剖アトラスです。
残念ながら日本語版はありませんが、英語版は改訂版も出ています。
⒉ 洋書の解剖学アトラスのクオリティが高いのはなぜ? |
口腔外科医として、口腔及び頭頚部の解剖学的知識は重要です。
頭頚部の解剖学に特化した日本の書籍は少ないです。
クオリティーの良いものは大抵洋書です。
日本の書籍の場合、頭頚部の情報にとんでいる書籍は口腔内の情報が少なく、その逆もまた然りです。これは、日本特有の領域的な違いからくる、需要の少なさが原因の一つだと自分は考えています。
ヨーロッパでは、日本でいう口腔外科医は頭蓋顎顔面外科医でダブルライセンスであることが多いです。(ダブルライセンスというのは、医師免許も歯科医師免許も取得しているということです。)
ダブルライセンスであることから、わかりやすく言えば守備範囲が広く、扱う領域も口腔内にとどまらず頭頚部全域に及びます。したがって、ヨーロッパ産の頭頚部領域の解剖学書籍は、口腔内も含めた頭頚部情報が充実しています。
日本で手に入る良質な(情報量の多い)ものは、大抵が洋書を翻訳したものです。
しかし、すべての洋書解剖学書籍が日本語に翻訳されるわけではありません。
本当に良いものなのに、日本語に翻訳されていないアトラスも探せばたくさんあることでしょう。
自分が以前から持っているメディカル・サイエンス・インターナショナルの “atlas of ANATOMY(日本語訳版)「あたらしい人体解剖学アトラス」”も洋書の日本語訳バージョンです。
洋書の方が良いものだという漠然とした固定概念はありません。実際に手にとって中身を見てみてそう思ってきた実感です。
この手の書籍は値段が高いものです。
安物買いの銭失いにはなりたくないものです。
どうせなら、良いものを1、2冊手元に置いておきたいものです。
【今日のオランダ語】
誰かホテルにドライヤーがあるか覚えてる?
Kan iemand zich herinneren of ze in het hotel een föhn hadden?